Q&A
Q1. なぜ利益相反マネジメントが必要なのか?研究活動が阻害されるのではないか?
Q2. 利益相反マネジメントにはどんな状態だと違反なのか?
Q3. 審査で問題があるとされた場合どうなるのか?
Q4. 指導・勧告を無視した場合どうなるのか?
Q5. 利益相反の自己申告と兼業申請の関係は?
Q6. 誤った内容や虚偽の申告をした場合、罰則はあるのか?
Q7. 申告内容は個人情報として秘密が守られるのか?
また、外部から情報開示の請求があった場合の取り扱いはどうなるのか?
Q8. 研究者等の家族(配偶者及び生計を一にする1親等内の親族)の範囲は?
Q9. 同じ時期に2つの臨床研究がある場合、それぞれの利益相反状態を区別して申請する必要があるか?
Q10. 自己申告書に記載する各項目は、いつの時点の金額を記入すればよいか?
Q11. 教室(講座や診療科など)で受け入れた
研究費(寄付金、受託研究費及び共同研究費等)は、どの研究者が記載するべきか?
Q12. 他の病院での兼業収入も記載する必要があるか?
Q13. 厚生労働省のQ&Aに「公的機関から支給される謝金等は、
『経済的な利益関係』に含まれない。」との記載があるが?
Q14. 学会から支給された講演の謝金は、公的機関から支給された謝金と理解してよいか?
Q15. 会社から品物や金券(ビール券など)を受け取った場合は、どのように記載するのか?
Q1. なぜ利益相反マネジメントが必要なのか?研究活動が阻害されるのではないか?
臨床研究ばかりではなく、どのような研究にとっても産学連携活動を適正かつ円滑に遂行するために必要とされており、北海道大学でも指針と規程が定められています。
本院が大学全体の規程の下にポリシーと内規を定める理由は、臨床研究は研究者自身が利益関係を持つ企業等と関わりを持つケースが起こりえるため特に慎重な対応が求められるからです。
利益相反マネジメントは、研究者の行動を制限したり、受け入れる研究費(受託研究費や寄付金など)の会社や金額を制限したりするものではありません。
ある臨床研究の結果が特定の会社にとって利益をもたらした時、その研究者がその会社から個人的な利益があったり、大きな金額の研究費を受け入れたりしている場合、会から臨床研究そのものが疑われ、研究者自身にも疑いの目が向けられる可能性があります。これらの状態を回避するため、研究者自身が研究の前に申告を行い、審査を受けることにより疑念を持たれることを防ぎ、研究者の保護と病院の社会的信頼を維持することを目的としています。
Q2. 利益相反マネジメントにはどんな状態だと違反なのか?
本マネジメントは、研究者の金銭的な利益や受け入れる研究費(受託研究費や寄付金など)の会社や金額の上限を設定するものではありません。また、申告内容に個人的な収入や研究費の受入があったからといって、「利益相反状態の疑い」へと直結するものではありません。
臨床研究における利益相反状態とは、研究者の個人的な経済的利益や研究費等の受入れによって研究の結果が歪められることが懸念される状態であり、その可能性があることに疑念を持たれないようにすることが利益相反マネジメントです。
利益相反は法令違反とは異なり、社会的疑念を招き、病院(大学)の社会的信頼を損ないかねない状況を指します。法令を遵守しているかどうかは判断基準にはならず、社会的に受け入れられるかどうかが主な判断基準となります。
Q3. 審査で問題があるとされた場合どうなるのか?
審査において利益相反において利益相反状態にあると思われる場合には、必要に応じて書面による照会あるいはヒアリングを行います。その後、是正が必要と判断した場合には、指導・勧告が行われます。指導・勧告がすぐに是正される場合は、是正後の状態で再審査を行います。すぐに是正できない場合は、是正計画を提出していただき、その計画で再審査します。この場合には改善状況を確認することがあります。審査結果は、審査の経過も含めて病院長へ報告し、病院長から研究代表者及び研究者全員に通知されます。もちろん審査結果について異議がある場合には、理由を付して再審査を求めることが可能です。
Q4. 指導・勧告を無視した場合どうなるのか?
利益相反審査委員会の指導・勧告には強制力はありませんが、審査結果は研究責任者が自主臨床研究審査委員会に提出する必要があります。自主臨床研究審査委員会では、利益相反審査委員会の審査結果で「適」と判定されない限り本審査を行いません。従って、当該臨床研究の実施が許可されないこととなります。また、その状態が本学の倫理規則、就業規則等に反する行為と認められる場合については、懲戒処分となる可能性もあります。
Q5. 利益相反の自己申告と兼業申請の関係は?
兼業申請の手続を行っていても、利益相反自己申告の対象となることがあります。また同様に、利益相反自己申告を行っても、兼業申請は省略できません。
利益相反マネジメントはすでに大学により認められている兼業に関する許可に影響を与えるものではありません。しかし、兼業が認められている兼業先の株式や新株予約権を取得する場合、あるいは共同研究・受託研究を行う場合等、利益相反マネジメントが必要な場合があります。
Q6. 誤った内容や虚偽の申告をした場合、罰則はあるのか?
利益相反審査委員会は、研究者本人に罰則を与える権限は有していません。しかし、審査委員会では、その誤った内容で審査を行っていますので、審査結果も誤ったものであるため、病院長への報告、自主臨床研究審査委員会への連絡により当該臨床研究の中止を勧告することがあります。
また、その内容が本学の倫理規則、就業規則等に反する行為と認められる場合については、委員会からの報告により懲戒処分になることがあります。
Q7. 申告内容は個人情報として秘密が守られるのか?また、外部から情報開示の請求があった場合の取り扱いはどうなるのか?
自己申告書は、個人情報として扱われ、審査委員会以外でそのまま公開されることはありません。
しかし、利益相反に関する取り組みが、大学への社会の信頼を維持することを目的としている観点から、個別事例が社会的に問題となった場合には、公表可能な範囲を必要に応じて開示する可能性があります。これは、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」等により、法人文書の開示請求があった場合は開示しなければならないことによります。ただし、特定個人を識別する記述等については、個人の権利利益が害されるおそれがあるため非開示情報となります。 利益相反マネジメントでは、情報の開示を大学組織内で積極的に行うことにより透明性が確保されますが、大学の組織外へすべての情報を開示するものではありません。
利益相反審査委員会は、研究者本人に罰則を与える権限は有していません。しかし、審査委員会では、その誤った内容で審査を行っていますので、審査結果も誤ったものであるため、病院長への報告、自主臨床研究審査委員会への連絡により当該臨床研究の中止を勧告することがあります。
また、その内容が本学の倫理規則、就業規則等に反する行為と認められる場合については、委員会からの報告により懲戒処分になることがあります。
Q8. 研究者等の家族(配偶者及び生計を一にする1親等内の親族)の範囲は?
あなたと配偶者の両親と子供が1親等となります。ただし、独立して別世帯となっている場合には「生計を一にする」に該当しませんので、申請書に記載する必要はありません。
利益相反審査委員会の指導・勧告には強制力はありませんが、審査結果は研究責任者が自主臨床研究審査委員会に提出する必要があります。自主臨床研究審査委員会では、利益相反審査委員会の審査結果で「適」と判定されない限り本審査を行いません。従って、当該臨床研究の実施が許可されないこととなります。また、その状態が本学の倫理規則、就業規則等に反する行為と認められる場合については、懲戒処分となる可能性もあります。
Q9. 同じ時期に2つの臨床研究がある場合、それぞれの利益相反状態を区別して申請する必要があるか?
本院の取り扱いでは、現在の状況をすべて申告することで、臨床研究ごとに区別して申告する必要をなくしています。したがって、どの会社との臨床研究で、どの会社から利益を受けていてといった区別は必要ありません。申請時点でのすべてを申請書に記載、申請を行うことで、状況に変化がなければ、一つの申請で複数の臨床研究を行うことが可能です。(この場合、研究代表者がとりまとめる提出表に、申請済みであることを記入してください。)ただし、自己申告書は状況に変化がない限り1年に1度の提出でかまいませんが、臨床研究ごとに総括提出表の提出は必要となりますので、研究責任者は注意が必要です。
Q10. 自己申告書に記載する各項目は、いつの時点の金額を記入すればよいか?
実際にあなたと関係者の収入となる①~⑤(報酬、株式の利益、特許権使用料、講演料及び原稿料)は、申請年の前年分を記入してください。平成21年7月に申請の場合は、平成20年の収入を記入してください。(年度ではなく暦年としてください。確定申告と合致させることも一つの方法です。)
研究のために要する⑥及び⑦(研究費及び客員研究員)は、申請月から過去1年間の期間での受入を対象としてください。なお、寄附金は1企業等からの年額となりますので、複数回に分けて寄附があった場合は1年間の合計となりますので注意してください。
Q11. 教室(講座や診療科など)で受け入れた研究費(寄付金、受託研究費及び共同研究費等)は、どの研究者が記載するべきか?
受け入れた研究代表者(受入代表者)の申請書に記載してください。ただし、研究分担者としての配分がある場合は、その分担者が記載してください。(研究代表者は、その分担金分を除いて記載してください。)
受入代表者と実際に使用する者が異なる場合であっても、金額を明確に分けることができない場合には、受入代表者がすべての金額を記載してください。
Q12. 他の病院での兼業収入も記載する必要があるか?
医師としての診療により得た報酬は、記載する必要がありません。関係者についても同様ですが、臨床研究に関係する業種の場合には記載してください。(製薬会社、医療機器メーカーなど)
Q13. 厚生労働省のQ&Aに「公的機関から支給される謝金等は、『経済的な利益関係』に含まれない。」との記載があるが?
謝金として受け取った場合には「④講演料」「⑤原稿料」欄への記載の必要は該当しませんが、研究助成金、委託費、受託研究費などの受入は「⑥研究費」欄への記載が必要になります。なお、厚生労働省Q&Aでは、「公的機関」を、国、地方自治体及び独立行政法人と定義しています。
Q14. 学会から支給された講演の謝金は、公的機関から支給された謝金と理解してよいか?
学会は公的機関に該当しないため、学会から支給された講演の謝金は、「④講演料」欄に記載する必要があります。
Q15. 会社から品物や金券(ビール券など)を受け取った場合は、どのように記載するのか?
利害関係者からの金品の受領は、この申請にあたりません。
北海道大学倫理規定において、
(禁止行為)
第6条 役職員は,次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 利害関係者から金銭,物品又は不動産の贈与(餞別,祝儀,香典又は供花その他これらに類するものを含む。)を受けること。
と禁じられています。