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〖社会共創プロジェクト〗日本デジタル医学会 × 北海道大学病院 HELIOS:WITH ALS 武藤氏との対話セッション開催―デジタル技術は、人の可能性を広げるために―
第2回日本デジタル医学会年次学術大会において、北海道大学病院 HELIOSは、一般社団法人WITH ALS代表理事の武藤将胤氏をお迎えし、「デジタル技術が人の可能性をどのように拡張し、未来の医療や社会にどのような価値をもたらすのか」をテーマとした対話セッションを開催しました。
モデレーターは、日本医療研究開発機構(AMED)で患者・市民参画(PPI)の推進を担当する勝井恵子氏が務め、武藤氏、渡邊祐介大会長(HELIOS臨床研究開発センター長補佐)の3者による対話を通して、「患者・市民とともに創るデジタル医学」のあり方について対話が行われました。
テクノロジーは「失われたものを補う」から「人の可能性を拡張する」へ
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動をつかさどる神経細胞が徐々に障害される進行性の神経難病です。手足や全身の筋力が低下し、話すことや食べること、呼吸することが次第に困難となります。一方で、多くの場合、思考力や意思は保たれるため、「伝えたいことがあっても身体が思うように動かない」という大きな課題に直面します。そのため、視線入力や音声生成、生体信号などのデジタル技術は、コミュニケーションや自己表現、社会参加を支える重要な手段として期待されています。
ALS当事者である武藤氏は、視線入力、音声生成、生体信号、脳波などのデジタル技術を活用しながら、クリエイター・アーティストとして国内外で活動されています。
対話の中で武藤氏は、
「テクノロジーによって得られたものは、失った身体機能の補完ではなく、身体の拡張です。」
と語りました。
クロスリンガル音声合成技術によって複数言語でコミュニケーションを行い、脳波でロボットアームやドローンを操作するなど、ALS発症前には実現できなかった新たな表現や活動が可能になった経験を紹介し、「テクノロジーによって人は進化できる」という力強いメッセージが会場に届けられました。
「患者のため」ではなく、「患者とともに」創る研究開発
続く議論では、技術開発のあり方について意見が交わされました。
勝井氏は、患者を完成した技術の評価者として位置づけるのではなく、研究開発の企画・設計段階から参加する「開発パートナー」として捉えることの重要性を強調しました。武藤氏も起業以来、多くの企業や大学研究者と共同で技術開発を進めてきた経験から、「本当に必要なアイデアは、当事者自身が最も多く持っている」と述べ、研究開発の初期段階から患者・市民が参画する共創型の開発が今後のスタンダードとなることへの期待を語りました。
勝井氏も、患者・市民参画(PPI)の観点から、「研究者や企業が課題を設定するのではなく、当事者とともに研究開発の目的そのものを考えていくことが重要である」と述べ、患者・市民を研究開発のパートナーとして位置づけることの意義を改めて共有しました。
デジタル医学が目指すもの
渡邊大会長は、医療DXやAIは単なる効率化のためではなく、「患者さんとの対話やケアの時間を生み出すために活用されるべきものである」と述べました。
さらに、「デジタル技術には、人間だけでは捉えきれなかった意思や生体信号を可視化し、新たな表現や可能性につなげる力があります。人にしかできないことを大切にしながら、デジタルだからこそ実現できる価値を社会へ届けることが重要です。」と語り、デジタル医学が目指す方向性について考えを示しました。
患者・市民とともに未来の医療を創る
最後に武藤氏は、今後の目標として、脳波・視線入力・音声合成技術などをより多くの患者が利用できるよう社会実装を進めること、そしてアーティストとして世界へ希望を発信していくことを紹介しました。
本セッションを通じて、デジタル技術は「できなくなったことを補う」だけではなく、一人ひとりの可能性や選択肢を広げる力を持つこと、そしてその未来は患者・市民、研究者、医療者、企業がともに創り上げていくものであることが改めて共有されました。
北海道大学病院 HELIOSでは、患者・市民を研究開発の対象ではなくパートナーとして位置づけ、人を中心に据えたデジタル医学の実現を目指しています。デジタル技術は人に置き換わるためではなく、人の可能性を広げるためにある。その理念を胸に、これからも患者・市民との共創を通じた新たな医療の創造に取り組んでまいります。
【社会共創プロジェクト】患者市民参画(PPI)×HELIOS
https://helios.huhp.hokudai.ac.jp/news/2022/09/28/nfo_20220928_01/
日本日本医療研究開発機構(AMED)が推進する社会共創から着想を得て、これらの活動を実施しています。
https://www.amed.go.jp/socialcocreation/index.html(AMED>社会共創(Social Co-Creation)webサイト)

